スピリチュアルカウンセリング体験記 (4)


山「これから、仕事の幅が、今まで以上に広がります。 今、相談の仕事をしておられて、その領域に満足ですか?」
森「え。」
山「森川さんに付いておられる方がおっしゃるには、“この人には、もっと落ち着いた年齢の方のほうも合っている”、ということなんですよね。心理をなさっている方は、子どもさんのほうに(向いていて、指向性がある)、という方が多いから、珍しいですね。」
…ぐっと年配の方との相談、ということか。
山「そうですねえ例えば、介護をなさっている方の相談とか。考えたことはおありですか?」
全く考えたこともない領域だ。
山「介護している方たちは今、ほんとうに大変なようで、そういう方々のためのプロジェクトを立ててもらいたいぐらいなんですけどね。まあ介護というと、障害者の方の介護とか、いろいろありますから、そっちかもしれませんけど。」
私の臨床の場は今、大学附属の相談室以外には無いが、今後別のところへ広がるということだろうか。
まあ、私の性格であれば、頼まれれば、無きにしもあらず、かもしれない。
先生はまたあらためて目を閉じておられる。
山「相談の仕事をしておられて、最近、今までとは違うスタイルになってきていると、感じることはありませんか。」
…いや別に…。
山「実際にカウンセリングをしておられる場面が見えるわけではないんですけれどね。森川さんが相談の仕事をしておられて、今までとは違うことが口をついて出て、『え、私こんなこと言って』とか、『こんなこと言ってはまずかったのでは』とか、自分で自分の言葉に驚いたりなさっている、その念が飛んでくるんです。」
“話を聴く”ことが中心のカウンセリングの中で、私がイレギュラーなことを言ったりしてて、まずいな、と思うことはしょっちゅうある。
大学に来て、“教師”と“心理士”という二つの職種をかけ持つことになり、この、“似ているけど全く違う”職種の両立はえてして難しいものだ。
でもそれは、5年前からのこと。
最近は。
特段、変化は、無い。
いや、自分で気づかないだけで、あるかもしれない。
私の脳裏に、2ヶ月前の記憶が蘇る。
フォーカシングの研究会で、くじ引きの結果、O田氏がフォーカサー、私がリスナーになって組んだ。
終わったあと、O田氏が言った。
O「森川さん、リスニング変えましたね。」
森「え、そう?」
O「前は、フォーカサーの言った言葉に忠実に返しておられたけど、今日は、自分の言葉でまとめておられましたね。」
森「そうかねえ?」
O「でも、それが当たってて、いいと思いました。僕ももうちょっと自分の言葉でまとめてもいいかもですね。」
ここで普通なら、“気のせいじゃないの?”と思うところだが、なんせO田氏は“フォーカシング字引”。あらゆることをこっそりメモしているような人だ。
…………。
何か、変化は起こっている。今はその変わり目。ということなのだろうか。
山「というのはですね、守護霊というのは、ずっと同じ方たちが付いているわけじゃないんです。少しずつ、入れ替わるということがあるんです。ほら、前にこれ好きだったのに全然好きじゃなくなった、とかで、全く、自分の興味がかわってしまうことってありませんか。で、森川さんは、そろそろ、守護霊の入れ替わりの時期なんですよね。」
……そういうことがあるのか。
いや、それは年齢のせいではないだろうか。
と思ったが、次の瞬間“年齢に伴ってこちらがかわれば、守護霊さんの方も代わるのかもしれないな”、とも考え、思考をぐるっと360度回して、私は「そうなんですね。」と返事した。
山「森川さんは、直感的に、判断をなさる方なんですね。だけど思慮深い方だから、それを即、外に向けておっしゃることはないんですね。『え、私こんなこと言ってる』とか、自分の言っていることに驚くことが増えてきて、それで、『私はこういう仕事に向いていないんじゃないだろうか』、とまで思うことがおありのようですけど。だけど、森川さんの言葉は、実際出てくるときには、吟味された上の言葉であって、正しいので、おっしゃっていいんです。」
森「あの、考える時間をもっと長くしたほうがいいとか、短くしたほうがいいとか、ありますか」
山「だから、そのままでいいってことです。『もう充分試行錯誤したでしょう』と、言ってありますよ。」
先生は、私の上のほうを手のひらで示された。
そんなこんなであっという間に、1時間は終了した。
「先生のお仕事は、楽しそうですね。1人来たら、その人に6人(守護霊が)ついてきますから、同時にたくさんの人と面接できるんですね。」
山口先生は、「はい」と、にっこりなさった。
スピリチュアルカウンセリング体験記(5)に続く